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 カウンセリング・マインドを暮らしの中に 

JBIカウンセラー養成の目的

JBI日本バランシング協会では、創設以来、二つの目的の達成をめざして、カウンセラーの養成に奮闘してまいりました。

第一の目的は、言うまでもなく、「専門家」としてのカウンセラーの養成です。

一時期「17歳の危機」が新聞やテレビでとりざたされましたが、いわゆる、子どもたちをめぐる心的な危機状況です。そしてそれは、大人たちの危機の反映でもあります。
今後、老齢化社会の到来、情報化革命の進展のなかで、専門的なカウンセリングの必要性は益々必要とされてくるでしょう。このような時代のニーズに応えることが一つの目的です。

第二は、カウンセリング・マインドを暮らしの中に取り入れることです。
 
むしろ、JBIではこれが第一義的な目的と言ってもいいかもしれません。なぜならば、このことが達成されれば、専門カウンセラーは必要がなくなってくると言っても過言ではないでしょう。

ここで言うところの「カウンセリング・マインド」とは一言で言えば、「心と心がふれあう心」と言えるでしょう。
カウンセリングの神様と言われているカール・ロジャースの考え方−−−受容・共感・自己一致−−−を参考にさせていただけば、(1)人の心を受けとめる心(受容)、(2)人の心に響きあう心(共感)、(3)自分の心に素直な心(自己一致)、と言えるでしょう。

JBIでは、「心と心がふれあう心」を家庭にも、職場にも、地域社会にも、あらゆる人間関係のなかに実現していくことが、カウンセラーのいらない社会を創りだしていくことだと考えています。
カウンセラーの必要のない社会こそ実現すべき社会だと考えています。

JBIでは、更にセラピーの領域においては、ボディワーク、ボディサイコ・セラピー、トランスパーソナル・セラピーが大きな柱となっています。

ボディワークは、多くの場合、「矯正」、「修正」、「修復」などが目的とされていますが、JBIではそういったことが付随する場合もありますが、主たる目的は、「カラダとふれあう」こと、「カラダとつながる」こと、「カラダの知恵に学ぶ」ことです。

「カラダ」はもっとも身近な宇宙(自然)です。「カラダの知恵」は「宇宙の知恵」です。
カラダとつながれば一挙に宇宙とつながってしまいます。そのとき、真の癒し(ヒーリング)がおきてきます。「ヒーリング」とは、語源的には、「部分」が「全体」につながり、「全体になる」ということです。これは、個を超えていくトランスパーソナル・セラピーにつながってきます。

トランスパーソナル・セラピーは、「第四の心理学」とも言われているように、「個を超えた領域」にまで踏み込んでいくもっとも最新の、総合的(ホリスティック)なセラピ−です。



  カウンセリング・セラピー・ヒーリング いやしへの道

JBIは、カウンセリング、セラピー、ヒーリングという看板をかがげているわけですが、それらにはどんな違いがあるんですかという質問がたびたびありますので、今回はこの問題についての私見を提示しておきます。
もちろんこれには定説はなく、ひとつの考え方としてお受取りください。

すべてはヒーリングに向かっている

わたしの考えでは、〔図1〕のように、ヒーリングは、カウンセリング、セラピーを包括する最上位の概念として位置づけられています。
ヒーリングはセラピーを含み、セラピーはカウンセリングを含んでいると考えています。
カウンセリングもセラピーもヒーリングの一部であると考えています。
現実のワークにおいては、カウンセリングから始まりセラピーヘと進んでいくことになります。

この考えは、わたしが、ヒーリングを「全体化」のプロセスと捉えているところにあります。
周知のように、「HEAL(癒し)」という言葉は、ギリシャ語で「全体」という意味の「HOLOS」に語源をもちます。
同じ語源から「WHOLE(全体)」、「HOLY(聖なる)」、「HEALTH(健康)」などの言葉が生まれています。
また、ドイツ語の「HEILEN」という言葉は「癒し」と「全体性」の両者の意味を含有しています。

カウンセリングもセラピーも未分化(融合)から分化へのプロセス、分化から全体化(統合化)へのプロセスーー成長のプロセスをサポートすることとして、ヒーリングだと考えています。


意識のレベルとカウンセリング・セラピー・ヒーリング

というわけで、いずれもヒーリングであるわけですが、扱う意識のレベルによって、ワークはカウンセリングであったり、セラピーであったりするわけです。
そこで、意識のレベルとカウンセリング、セラピーの分類を試みておきましょう。
意識のレベルについては、ここでは現代の最先端を走っているもっとも包括的な心理学であるトランスパーソナル心理学、その代表的論客であるケン・ウィルバーの理論をべ一スとして紹介しておきます。
彼は、〔図2〕〔表1〕のように、人間の意識の階層構造的な全体像を提起し、それぞれの意識レベルに様々なタイプのワークを位置づけています。
わたしもほぼ20年間この仮説を前提にワークをしています。

1.カウンセリング

 『マイクロカウンセリング』の著者であるアレン・E・アイビイは、カウンセリングについて次のように言っています。
 「カウンセリングは一般にはごく普通の人が、ごく普通の問題や転機に対処するのを援助することである。」そして、「サイコセラピーは、深く根ざした性格障害や行動障害にはたらきかけることであり、もっと深い過程である。」と言っています。

つまりカウンセリングでは、過去の傷つき体験(トラウマ)にまで深入りすることなく、基本的には比較的健全なクライアントの性格構造や意識構造を前提としつつ当面する問題解決を援助するワークと言えるでしょう。

2.セラピー

セラピーは三段階に分けて考えられます。第一段階は、前個的(プレ・パーソナル)レベル、第二段階は、個的(パーソナル)レベル、第三段階は、超個(トランス・パーソナル)レベルです。
そしてまた、〔図2〕に基づいて言えば、セラピーは、仮面(ペルソナ)と影(シャドウ)に分裂(二元化)した自我の統合(全体化)ヘのワークであり、自我の全体的統合性に向かうことをテーマとするサイコ・セラピーと、自我と身体に分裂(二元化)した心身統合体としての有機体の
統合(全体化)ヘのワークであり、人間有機体としての全体的統合性に向かうことをテーマとするボディサイコ・セラピーとに分けて考えることができます。

有機体と環境に分裂(二元化)した全体性の統合(全体化)のワークであり、人間存在の全体的統合性に向かうことをテーマとするセラピーは、トランス・パーソナル・セラピーということができるでしょう。
それは、ケン・ウィルバーの言葉を借りれば、クライアントが「統一意識のレベル」に向かうことを援助することになります。

この領域においては、いまだ充分なシステムは開発されておらず、古くは、アサジオリのサイコシンセシス、今日的にはグロフのホロトロピック・セラピーといったところではないかと思われます。従来の様々なセラピー、宗教的な伝統のなかで培われてきた様々な技法、シャーマニズムのなかの精神的な伝統などの研究のなかで今日構築されつつあるというのが現状だと思います。

わたしのなかでは、JBIでやっている「ディープ・ブレス・バランシング」ーーこれはグロフのホロトロピック・セラピーと酷似している、そして今日医療現場にもすでに導入されている「瞑想」あるいは「マインドフルネス」はすでに成果が証明されている重要な技法であろうかと思っています。
セラピーは、基本的には、〔図4〕のようなプロセスを経るものと考えています。

つまり、カウンセリングのように、傾聴や対話からスタートしますが、そこにとどまらず、様々なエクササイズ(セラピー技法)を駆使し、クライアントが傷つき体験を呼び起こし、それにアクセスし、それを深化させ、処理し、トランスフォーメーション(変容)を引き起こしていくことを援助するワークです。
したがって、トラウマによって形成された性格構造や意識構造、あるいは成長障害へとアプローチしていくことになります。

このように書くと、いかにも操作的に見えますが、これはカウンセリングと同様セラピストは、たびたび「助産婦」に比喩されるように、「何かがそこに起きてくるのを援助する」ことに変わりはありません。あくまで主人公は、リードを取るのはクライアントです。



 エピローグ

わたしは、人生を成長しつつあるプロセスと見ています(〔図3〕)。それは未分化(融合)から分化ヘ、分化から統合化(全体化)ヘのプロセスです。

そして、健全な成長には一定の条件が満たされる必要があります。その条件を欠くと成長障害がおきます。そのとき様々な問題が発生します。
ワークは、その成長障害を越えていくことを援助します。その成長援助をヒーリングと呼んでいます。
そしてそれは、クライアントの準備のレベルによって援助のレベルも変わってきます。
今のわたしにとって、その援助のレベルをランクづけたものが、カウンセリング、セラピー(サイコ・セラピー、ボディサイコ・セラピー、トランスパーソナル・セラピー)です。

尚、JBIでは、〈病理ーー治療〉という図式ではなく、〈プロセス(過程)〉という観点から、〈プロセス障害ーープロセス援助〉として、その意味で再教育(リ・エデュケーション)の立場をとっていることを付け加えておきます。

JBI,コハラワークス(小原心身教育研究所)代表 小原 仁


参考・引用文献
(1) アレン・E・アイビイ/著 福原真知子他3名/訳編 『マイクロカウンセリング』 川島書店 1985年
(2) 吉福伸逸/著『トランスパーソナル・セラピー入門』平河出版 1989年
(3) ケン・ウィルバー/著 吉福伸逸/訳 『無境界一自己成長のセラピー論』 平河出版 1986年
(4) ケン・ウィルバー/著 吉福伸逸他2名/訳 
 『アートマンプロジェクト精神発達のトランスパーソナル理論』春秋社 1986年
(5) ロン・クルツ/著 高尾浩志他2名/訳 『ハコミ・セラピー』 星和書店 1996年




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